私たちの暮らしに必要なものを作っている工場ですが、製品を作る過程でニオイが発生することがあります。
悪臭防止法の排出規制を守った排気をしていても、民家が近い工場ではニオイが原因で近隣の方から苦情が出たりとトラブルになることも。
どんな工場でどんなニオイ物質が発生しやすいのか、気を付けたいニオイと代表的な対策方法を紹介します。
悪臭防止法:工場や事業所の排気のニオイを規制する法律。ニオイ成分や発生条件により、物質濃度や臭気指数(人の嗅覚からニオイの強さを数値化したもの)に基づいた排出規制を定める。
Contents
工場のニオイの種類と原因
工場の工程や扱っているものによってニオイの発生に傾向があります。最適な消臭方法を探すためにも、工場で発生するニオイの特徴を確認していきましょう。
工場で発生しやすいニオイの種類
1.窒素を含むニオイ物質
アンモニア
タンパク質や尿素が微生物に分解されて発生します。特有の刺激臭があり、水に非常に溶けやすく、アルカリ性を示します。
主な発生場所:畜産、化学工場、し尿処理場
トリメチルアミン(アミン類)
魚の腐ったようなニオイで、生ゴミ臭の代表的なニオイ物質。高濃度ではアンモニアに似た刺激臭を感じます。水に非常に溶けやすく、アルカリ性を示します。
主な発生場所:畜産、化学工場、水産加工場
2.硫黄を含むニオイ物質
硫化水素
硫黄を含むタンパク質の分解により発生。腐った卵のようなニオイの物質です。温泉街で感じる卵のニオイもこの硫化水素が原因です。水に溶けやすく、酸性を示します。
主な発生場所:畜産、パルプ製造工場、し尿処理場
メチルメルカプタン
腐った玉ねぎのようなニオイで、生ゴミの代表的なニオイ物質。水に少し溶け、酸性を示します。
主な発生場所:パルプ製造工場、化学工場、し尿処理場
3.アルデヒドの構造を持つニオイ物質
アセトアルデヒド
刺激的な青臭いニオイで、二日酔いやシックハウス症候群の原因物質。水によく溶け、中性を示します。沸点が21℃と低く、揮発性が高いのも特徴的です。
主な発生場所:化学工場、タバコ製造工場、魚アラの処理場
4.有機溶剤
除光液の主成分であるアセトンなどに代表される、炭素や水素が複数繋がった、常温で液体の物質です。工場で発生しやすいのはトルエンや酢酸エチルなどで、それぞれ、ガソリンやシンナーのようなニオイがします。
主な発生場所:塗装工程、印刷工程、化学工場
工場のニオイ対策
工場でニオイが発生してしまったとき、ニオイの性質に合わせた対策をとることが重要です。悪臭の対策方法として、基本的な考え方と、代表的な方法を紹介します。
一か所に集めて対処するのが基本
工場内のいろいろなところからニオイが発生していると、対応がとても大変です。ダクトなどでニオイを集め、排気口を一か所に絞ることで、まとめて対処することができ、消臭効率を上げるとともに、費用も抑えることができます。
敷地上空で大気と混ぜてニオイを薄める
消臭装置を導入しなくてもニオイを軽減できる場合があります。
排気の出口を高い位置にしたり上向きにして上空に向けてニオイを排出することで、大気と混ざり、地上に届くまでにニオイを薄めることができます。
消臭装置の仕組みと特徴
排気口の位置でニオイを解決できない場合は、消臭装置を出口に取り付けニオイ物質を取り除きます。ニオイの濃度に合わせて、作用が強力なものから穏やかなものまでありますが、導入や維持にかかる費用も異なるため、ニオイの発生状況に合わせた消臭装置を選択することが大切です。
1.物理的消臭方式
吸着法
活性炭やゼオライトなどの多孔質の吸着剤に排気を接触させ、ニオイ成分を吸着させる消臭方法です。
比較的多くの種類のニオイを消臭できますが、吸着できる量に限りがあるため、ニオイの発生が多い場所では頻繁に交換が必要。溶剤などで吸着剤を洗浄することで交換の頻度を下げる仕組みも開発されています。
2.化学的消臭方式
燃焼法
ニオイ物質を含んだ排気を800℃~1000℃で燃焼させます。
大量のニオイ物質を処理できるうえに、ほとんどすべてのニオイ物質を消臭できますが、導入と運用の費用が高いのが欠点。
触媒を用いて少ない燃料で消臭する仕組みもありますが、シリコンなどが排気に混ざっていると触媒が機能しなくなるため注意が必要です。
薬液洗浄法
スクラバーなどを用いて排気と薬液を接触させ、ニオイ物質や粒子を取り除きます。ニオイ物質に合わせて酸やアルカリの薬液を使用することで中和による消臭効果も発揮。中濃度までのニオイに適しています。
消臭剤
排気口やダクト内で消臭剤を噴霧し、排気中のニオイ物質を消臭。ニオイ物質との相性が悪いと効果が発揮しづらいという欠点がありますが、ほかの消臭方法と比較して少ない費用で導入と運用が可能です。
堆積物などからニオイが出ている場合には直接堆積物に消臭剤を噴霧することもあり、比較的低濃度のニオイに適しています。
オゾン・プラズマ脱臭法
装置内でオゾンやプラズマを発生させ、通過するニオイ成分を酸化分解。
排気中の油分を取り除くなどの前処理が必要ですが、メンテナンスが簡単だったりと維持が比較的容易です。低濃度のニオイに適しています。
3.生物学的消臭方式
微生物の働きによってニオイ物質を分解する方法。土壌や汚泥を活用するものなどがあり、条件が合えば、中濃度や高濃度のニオイを安価に対策できる場合があります。
消臭装置の選び方
実際に工場でニオイのトラブルが発生した時は対策が求められます。どのように対策方法を選べばよいのでしょうか。
結論としては、消臭施工を行っている企業に直接問い合わせいただいて結構です。
消臭施工を行う企業は、発生状況の調査から導入、メンテナンスまで一貫して行えるところが多く、問い合わせをいただいた際のヒアリングや簡単な打ち合わせで、どんな装置が最適か概ね想定ができます。
試験設置など効果の検証ができる企業であれば、ミスマッチを防ぐことができるため、問い合わせの際に試験設置が可能か確認しておくのも良いでしょう。
相談する企業を選ぶ際は、この記事を参考に、においの種類と強さをイメージして、条件に合いそうな企業を探してみてください。ホームページなどで導入実績を紹介している企業であれば、解決したいニオイとの相性の参考になります。
ニオイの状況がわからなければ、一度調査分析を専門的に行っている企業に測定を依頼してみるのも良いでしょう。
ニオイでお困りの際はお気軽にご相談ください。
ハル・インダストリでは、食品加工会社や製紙工場をはじめ、廃棄物処理施設などでの消臭剤の噴霧実績があります。植物由来の消臭成分を使用しており、噴霧後に消臭剤のニオイが残らないため、場所を選ばずに噴霧することが可能です。
消臭剤噴霧の施工は、極端に強いニオイの消臭は難しいものの、他の消臭方法と比べて安価に施工と運用ができるというメリットがあります。
お寄せいただく相談も、大きなものからちょっとしたトラブルまでさまざまですが、創業40年のノウハウを生かして、しっかりと対応させていただきます。
今お困りのニオイのトラブルも、案外あっさり解決できるかもしれません。
ニオイでお困りの際は、ぜひ、真無臭のハル・インダストリに一度ご相談ください。
真無臭:香りを使わず嫌なニオイを無くすことでニオイを楽しむ空間が準備できること