爬虫類というと、犬や猫と比べて感情表現がわかりにくかったり、ツヤツヤした外見から無機質でクールなイメージがあるかもしれません。でも、実際は性格の違いがあったり、つぶらな瞳や食べるときの動き、首をかしげるしぐさなどに愛くるしさが感じられる、見れば見るほど魅力的な生き物なんです。
飼育する場合も、散歩の必要がほとんどなく、小型の種類であれば飼育スペースも小さくて済むので一人暮らしでも飼いやすいのも魅力です。
しかし、室内で飼っていると、帰宅したときに部屋に充満した嫌なニオイに驚くことも。
爬虫類の飼育に隠れたニオイの原因とその対策を知り、爬虫類との真無臭生活を楽しみましょう。
Contents
爬虫類のニオイの原因
爬虫類は「変温動物」のなかまで、イヌやネコと違い自分で体温を調節することが苦手です。体温調節のための汗をかかない上に、ニオイの原因になりやすい体毛もありません。体の表面はツヤツヤしていて清潔そうに見えるのに、どうしてニオイが発生するのでしょうか。
じつは、爬虫類の体はニオイがほとんどありません。ウロコにおおわれた体の表面は、ニオイを発生させたりニオイが染みついたりすることが少なく、定期的な脱皮により体の表面を新しく作り変えています。
ただ、全くニオイを発さないという訳ではなく、アオダイショウなどのヘビのなかまには肛門のあたりに臭腺を持つものがいて、威嚇するときなどにニオイの強い分泌液を出すことがありますが、普段はこのニオイを出すことはあまりありません。
そんな爬虫類を飼育していてニオイが発生する原因は大きく3つ。フン・エサ・ケージ(床材)です。特に肉食の爬虫類の場合は、フンもエサもニオイが強くなりやすい傾向があります。
排泄物のニオイが一番の原因
生き物自体が臭わなくても、フンは必ず臭います。特に肉食や雑食の場合は、エサにニオイの原因となる物質が多く含まれるため、草食のフンよりもニオイが強くなりやすい傾向が。リクガメやグリーンイグアナを除くほとんどの爬虫類は肉食か雑食なので、爬虫類全体で見てもフンのニオイは強い傾向です。
さらに、大型のものになると、その分たくさん食べてたくさん排泄するのでニオイも強く感じられます。
爬虫類は体にニオイが付きにくいため、フンなどの排泄物を片づけてあげることでニオイが大きく改善します。
餌の食べ残しのニオイが原因
爬虫類のエサは、体の大きさや肉食かどうかなどの条件によってさまざまな種類にわかれます。リクガメなどの草食の種類に野菜などを与えている場合は、エサ自体のニオイは控えめですが、肉食の場合はエサ自体のニオイが気になることも。
肉食でも草食でも、食べこぼしや食べ残しをそのままにしておくと、傷んでニオイの原因になってしまいます。また、コオロギなどの生餌を与える場合にうっかり逃がしてしまうと、隠れた先で嫌なニオイの原因となってしまうため、生餌を扱うときは要注意です。
床材のニオイが原因
ケージに床材を敷いている場合は、床材の状態にも気をつけましょう。エサからでた水分や排泄物が染み込んでしまうと、そこからニオイが発生してしまいます。汚れを見つけたときに、そこだけ取り除いたり、定期的に床材を入れ替えたりして清潔に保つようにしましょう。
飼育環境がニオイを強くすることも
変温動物ならではの飼育環境がニオイを強くしてしまっていることも。
自分で体温を上げることのできない、爬虫類などの変温動物を飼育するときに使用するのが、体温を上げるための保温用ライトやヒーターです。これらの熱がニオイのもとも温めてしまい、ニオイが発生しやすい状態にしてしまうことがあります。また、水生の亀などのケージ内の湿度が高くなる生き物の場合にもニオイが発生しやすくなるので、清潔に保ってあげる必要があります。
爬虫類のニオイの対策
爬虫類のニオイ対策は「フン・エサ・ケージ(床材)」の3つの原因に注目することが大切。それぞれの原因にあった対策をして、嫌なニオイを防ぎましょう。
ニオイ対策は、ニオイの原因を取り除くことがもっとも効果的ですが、すべて取り除くのは難しいことも。キレイにしていてもニオイが気になる場合には、ニオイが出にくくする工夫をしたり消臭剤を使ったりして対策をしましょう。
排泄物のニオイが原因の場合
排泄物がニオイの原因になっているときは、こまめに取り除くことを意識してみましょう。換気などで一時的にニオイが気にならなくなっても、ニオイの原因が残っていると、またすぐにニオイが充満してしまいます。飼育環境などの理由でこまめに取り除くことが難しい場合は、置き型の消臭剤を設置すると持続的な消臭効果でニオイを抑えることが可能です。
餌の食べ残しのニオイが原因の場合
人工フードや野菜などを置き餌として与える場合は、傷む前に食べこぼしや食べ残しを取り除くようにしましょう。食べこぼしや食べ残しをそのままにしておくと、ニオイの原因になるだけではなく、汚れや病気の原因になってしまうことがあります。
また、生餌を与えることがある場合は、生餌の容器を逃げ出しにくいものに変えることも大切です。ペットに与えるときにも、後ろ脚を取り除いてから与えるようにすると、脱走を防ぐとともに、捕食もしやすくなります。
床材のニオイが原因の場合
敷砂やウッドチップなどの床材は、ニオイや汚れの状態にあわせて1~2か月ごとに交換しましょう。 大きめのケージの場合は2~3か月を目安に交換します。
消臭効果がある床材や、含まれるバクテリアがニオイの原因を分解するものなどの機能性の高い床材も販売されているので、試してみるのもオススメです。
餌を変えてニオイ対策
餌のニオイが気になるときには、ニオイの弱いものを試してみましょう。人工フードであればニオイを抑えたものがありますし、生餌も種類によってニオイが違います。ペットとの相性を見ながら臭くない餌を試してみるのもよいでしょう。
餌の容器や水入れについた餌も、ニオイや汚れの原因となるので、こまめに洗うことが大切です。
ケージを掃除する
爬虫類のケージは定期的な掃除が大切。ケージ全体を水でしっかりと洗います。床材の交換とあわせて行うと手間が省けてオススメです。掃除をするときには爬虫類を別のケージに移すなどして、脱走しないように気をつけましょう。
定期的な清掃以外にも、汚れを見つけたときや排泄の後にはこまめに汚れを取るようにしましょう。専用の除菌シートやクリーナーを活用するのもオススメです。
消臭剤・消臭スプレーを使用する
ニオイの対策をしていても、爬虫類のニオイがまだ気になるときには、置き型の消臭剤を試してみましょう。無香料タイプのものを使えば、ニオイが混ざってしまうことやペットのストレスになってしまうことが避けられます。
また、ケージの周りなどにニオイが染みついてしまったときには消臭スプレーがオススメ。ペットの種類によっては消臭スプレーの成分と相性が悪い場合があるので、直接かかるような使い方は避け、使用後はしっかりと拭き取るようにしましょう。
定期的に換気する
爬虫類の飼育では、体温調節のためにケージ内の温度や湿度に気を付けなければいけません。しかし、ニオイが強くなりやすい場合には定期的に空気を入れ替えて対策することも大切です。
換気をするときには、ペットが逃げようとしないか、温度が変わり過ぎてペットに影響がないかなど気を付けて行うようにしましょう。
爬虫類は衛生面に気を付ける
いつもと違ったニオイやいつもより強いニオイがしているときには、何か異常が発生しているのかもしれません。ペットが体調を崩していたり、飼育環境が悪くなったりしていないか確認してみましょう。
ペットが元気そうに見えても、不衛生な環境では病気のリスクが高まります。飼育環境を清潔に保つことはペットの健康を守るだけではなく、ニオイの予防にも繋がります。
大切なペットと長く一緒にいるためにも、常に清潔な状態を維持しながらよく観察することが大切です。
爬虫類ケージを清潔に保って長く幸せな爬虫類ライフを
爬虫類を飼育する上でニオイの原因となるのは、食べ残しとフン、そしてそれらが染み付いた床材です。さらに、温度や湿度を高く保った飼育環境もニオイを広げる原因になります。
ニオイ対策は原因を理解することが大切。ニオイが発生しやすい場所を意識して対策をすれば効率よくニオイを抑えることができます。
また、不衛生な飼育環境は病気のリスクも高まります。飼い主とペットの両方が健康に気持ちよく過ごすためにも飼育環境を清潔に保つようにしましょう。
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ニオイ対策を完璧にしようとしても、ニオイを完全に抑えるのは難しいもの。対策をしてもニオイが気になる場合や対策しきれないときは、消臭剤を使って真無臭生活を楽しみましょう。