ハル・インダストリの消臭剤は、ある水産加工工場の悪臭防止対策からはじまりました。
静岡県内には古くから缶詰工場など数多くの水産加工工場がありました。
以前は周辺に住宅がなかった地域でも、昭和40年代、50年代には民家が増え、工場から出る魚の生臭さなどの臭気に対する苦情が増えていました。様々な公害問題が表面化した時代、ニオイに対しても昭和46年に「悪臭防止法」が施行され、工場の環境改善が迫られていました。
知人の働く工場で悪臭対策に悩んでいることを、松浦令一(当社代表取締役)が耳にしたのもこの頃でした。
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当時の悪臭対策としては、芳香剤でニオイのマスキングを試みるのが主流。レモンやフローラルなどの香りを噴霧するのですが、かえってニオイが混じり合って得体の知れないニオイとなり、逆効果になることも少なくありませんでした。その他にも、活性炭などを使いニオイを吸着させる「脱臭法」や臭気を含んだ空気を800℃くらいの高温で燃やしきる「焼却法」などがありましたが、費用の割に効果が薄いなど、効果的な解決策にはなっていませんでした。
「ニオイは消せないのだろうか?」そんな疑問が松浦の脳裏に浮かびました。
ニオイには化石がない。物質や塊として昔のものが残っているわけではない。時間が経てば自然に消えているようだ。ニオイ成分が分解されているとしたら、そのスピードを早める技術ができないだろうか?そんな発想をもとに、2年間かけて研究を進め、ついにニオイが消える液剤を完成させたのです。
完成した液剤を園芸用の噴霧器に詰め、知人の働く工場に持ち込むと、工場長自らその場で臭気を放つ元に振りかけて試してくれました。液剤を噴霧するとニオイが消え、噴霧するのをやめるとまたニオイがします。
長いこと悪臭対策に悩まされていた工場長は非常に喜んでくれ、その後この液剤を効果的に運用するための噴霧装置を一緒に開発していきました。これによって長い間対処できずにいたこの工場の悪臭問題が解決したのです。
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この画期的な装置は評判を呼び、同じようにニオイの問題で悩んでいた他の水産加工工場からも依頼が相次ぎました。新聞記者の取材のなかで「消臭」という言葉が生まれたのもこの頃のことです。
こうして、ハル・インダストリは消臭剤メーカーとしてのスタートを切ったのです。