東京・高円寺に佇む、老舗銭湯「小杉湯」さま。銭湯が減り続けるなか、地域に暮らす人々のよりどころとして、街のカルチャーのひとつとして愛され続けている銭湯です。弊社とのお付き合いは2019年からとなり、いまでは「ハル・インダストリの湯」なるものも登場しています。
今回は、抱えていたお悩みや出会いのきっかけ、弊社商品を使い続けてくれる理由、そして銭湯だからこその活用法などを、ざっくばらんにお話ししていただきました。
話し手: 小杉湯 | 東京都杉並区高円寺
三代目 平松 佑介さま
インタビュアー: 株式会社ハル・インダストリ
大石 未来
中川 侑菜
小杉湯さまがどんな銭湯か、あらためてお聞かせください。
平松:昭和8年の創業以来、昔ながらのスタイルで営業を続ける街の銭湯です。建物は時代ごとに修繕や増築を行ないつつも、基本的には創業当時の趣を残しています。
銭湯は公衆浴場として、関東大震災後や戦後に急増した背景をもちます。そのため、建物には復興への願いが込められており、神社仏閣を思わせる宮造りが特徴です。
たとえば、玄関中央部の屋根の装飾は「唐破風(からはふ)」といい、関東大震災復興の象徴のひとつでした。脱衣所の天井は「格天井(ごうてんじょう)」という様式で造られていて、88年前の屋久杉が使われているんですよ。
こうした建築物としての価値が評価され、2020年に国の登録有形文化財に登録されました。
大石:小杉湯さまは「交互浴の聖地」と呼ばれていますね。
平松:はい。老若男女問わず、あつ湯と水風呂を交互に入る「交互浴」が人気です。豪華な設備ではなく、シンプルな入浴スタイルに魅力を感じてくださっている方が多いところに、小杉湯らしさを感じます。
小杉湯は2021年7月で88周年を迎えました。人でいえば「米寿」というおめでたい年なので、記念アイテムを作ろうかなと思っているところです。
小杉湯さまが大切にしていることは何でしょうか。
平松:小杉湯は、訪れる人にとって「ケの日のハレ」でありたいと思っています。ケは日常、ハレは非日常をあらわす言葉。「日常の連続に溶け込む、ささやかな幸せ」を提供することを、最も大事にしています。
また近年は、世代問わず一人暮らしの方が多数います。テレワークなどで、より一人の時間が増えた方も多いでしょう。そういう方々にとって、銭湯はよりどころのひとつになっています。銭湯は、いわばサイレントコミュニケーションの場。ひとりでたんたんと入浴するだけでも、人の気配を感じることで安心感を覚えるんですね。
「小杉湯に救われた、なにか恩返しさせてほしい」と尋ねてくる若い方もいて、嬉しい限りです。
銭湯としても、働く環境としても「ニオイ」は大きな課題
小杉湯さまが抱えていた悩みについて教えてください。
平松:お客様、働くスタッフの双方に対して、「不快に感じるニオイ」を解決する必要がありました。
銭湯ですから、みなさん靴を脱がれます。平日は400〜500名、土日になると倍くらいのお客様が訪れるので、とくに夏場の玄関まわりのニオイが悩みでした。
「きれいで、清潔で、気持ちいい」。これは、銭湯を営むうえで祖父が大事にしていたことですが、僕もこの考えを踏襲しています。50年100年後も、そんな銭湯であり続けたいと思っています。
清掃の徹底、湯の品質維持、アメニティの無料完備などでサービスの充実を図るものの、ニオイへの対処だけは難しく……。消臭剤やアロマなどいくつも試しましたが、期待する効果は得られませんでした。
また、働くスタッフにとっても、ニオイはけっこう大きな問題なのです。お客様より長く滞在しますし、女湯の管理という点から女性スタッフが多いため、ストレスが生まれやすい。スタッフが気持ちよく働ける環境を早急に整える必要がありました。
「Twitterでつぶやいたらニオイの悩みがなくなった」ぐらいのスピード感
小杉湯さまとの出会いはTwitterでした。当時の様子やお気持ちを教えてください。
平松:ニオイの問題を一体どうすれば解決できるのか。いいアイデアをもっている人がいないかと、軽い気持ちでツイートしてみたんです。そうしたら、フォロワーさんが、ハル・インダストリ(以下、ハル)さんの製品を教えてくれました。
中川:そのフォロワーさんは親切にも紹介のツイートにハルをタグ付けしてくださったので、すぐにつながることができました。
平松:はい、そこから早かったですよね。TwitterのDMでハルさんからメッセージをいただき、何回かやりとりを重ね、お会いしたのがその2日後です。このフットワークの良さにはインパクトがありました。静岡と東京の距離を感じませんでしたね。
お会いしたときも、「この場所にはこういう風に置くといいですよ」とか「じつはこんな使い方もできます」など、熱心にいろいろと教えてくださり、ビジネスライクな対応でないところも好感がもてました。提案の内容はプロだけど、人として親しみやすい。だからいろいろ相談したくなるんです。
製品の効果については後述しますが、とにかく対応のスピードが早かったです。体感としては、ツイートしたらニオイの悩みがなくなっていた、そんな感じです(笑)。
圧倒的な「消臭力」と、会社訪問で確信したハルへの「信頼感」
製品を使ったときの率直な感想をお聞かせください。
平松:気づいたら、嫌なニオイが消えていた、という感じです。いつの間にか無臭になっていたので、狐につままれたような気分でした。はじめに気づいたのはスタッフです。これはすごい製品だと、スタッフのあいだで話題になりました。
現在、消臭ビーズはいたるところに配置し、消臭ミストは脱衣所や番台に置いて、お客様にも使っていただいています。お風呂上がりに気になる衣類のニオイも、ミストをシュッとすれば解決です。
ニオイを元から消して、無臭にする。この圧倒的な消臭力こそ、ハルさんの製品を使う最大の理由です。小杉湯の「ケの日のハレ」をつくるために、欠かせないピースになっています。
小杉湯のみなさんで会社見学に来てくださいましたが、その理由を教えてください。
平松:タオルや洗剤、シャンプーやボディソープなどのアイテムはすべて、自分たちが本当にいいと思うものだけを使うと決めています。小杉湯にあるものには責任をもちたいですし、自分たちが大切にしたいと思うものを扱うことは、働くスタッフにとっても良いことです。
製品を理解するためには、ものづくりの現場を知り、作る人たちの顔を見ることが大切です。そのため、メーカーさんとお付き合いする際は、できる限り会社見学をさせていただきます。
ハルさんの会社に伺って、消臭ビーズやミストがどのように作られているのかが分かり、松浦社長のお話も大変おもしろく、訪問して大正解でした。スタッフ一同、信頼を寄せています。小杉湯でハルさんの製品を販売しているのも、そんな信頼のあらわれです。ポップは、スタッフの手作りなんですよ。
大石:ありがとうございます。代表の似顔絵、似ています……!みなさんの愛情を感じて、私たちも嬉しいです。
「ハル・インダストリの湯」も好評。銭湯ならではの活用法
「ハル・インダストリの湯」は画期的でした。小杉湯さまならではの活用法ですね。
平松:製品の成分が100%植物由来という点に着目し、消臭剤の原液を湯に入れてつくる「ハル・インダストリの湯」を思いつきました。
成分は樹木から抽出したエキスということで、湯に入れるとほんのり木の香りがし、お客様からは癒やされると評判です。土日を中心に不定期で開催しています。
ハルさんの製品は、口に入ったり、赤ちゃんに触れたりしても安全なので、事業者ごとにさまざまな活用法がありそうです。ポテンシャルを感じます。
今後、ハル・インダストリに期待することはありますか?
平松:とても優れた製品なので、静岡にとどまってほしくないと思っています。もっと当たり前に、全国の人が知るべき製品だと、僕は思います。
オンラインショップやSNSによる発信は充実していますが、やはりまだまだ店頭で買いたい方は多いです。東京に関しては、常時店頭販売しているのは小杉湯ぐらいなので、もっと取扱店が増え、消費者がふらっと購入できる環境が築けるといいな、というのがいちファンとしての想いです。
担当者の声
今回の取材は、前任からの引き継ぎも兼ねて初めての訪問でした。働く環境も大切にされている平松さまのお人柄が伺えて、とても楽しい時間でした。
創業当時から「きれいで、清潔で、気持ちいい」環境づくりを大事にしている小杉湯さまのお役に立てていること、また、今までになかった形で弊社の消臭剤を多くの方に体験していただけていること、本当に嬉しく思います。
取材後、入浴させていただきましたが、交互浴の気持ちよさはもちろんのこと、人とのつながりを感じられる「時間」がとても貴重で、「ケの日のハレ」をしっかり体感することができました。
これからもみなさまとの出会いを大切に、「ニオイの総合コンサルタント」という弊社にしかできない取り組みを増やしていきたいです。引き続きよろしくお願いします!